ヤモリ、カエル、シジミチョウ
朝日文庫 え10-2

虫と話ができる幼稚園児の拓人、そんな弟を懸命に庇護しようとする姉、ためらいなく恋人との時間を優先させる父、その帰りを思い煩いながら待ちつづける母――。 危ういバランスにある家族にいて、拓人が両親と姉のほかにちかしさを覚えるのは、ヤモリやカエルといった小さな生き物たち。 彼らは言葉を発さなくとも、拓人と意思の疎通ができる世界の住人だ。近隣の自然とふれあいながら、ゆるやかに成長する拓人。一方で、家族をはじめ、近くに住まう大人たちの生活は刻々と変化していく。 静かな、しかし決して穏やかではいられない日常を精緻な文章で描きながら、小さな子どもが世界を感受する一瞬一瞬を、ふかい企みによって鮮やかに捉えた谷崎潤一郎賞受賞作。

 

著者紹介

江國 香織 (エクニ カオリ)  

1964年東京都生まれ。89年「草之丞の話」で「小さな童話」大賞、「409ラドクリフ」でフェミニナ賞、92年『きらきらひかる』で紫式部文学賞、2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、04年『号泣する準備はできていた』で直木賞、07年『がらくた』で島清恋愛文学賞、10年『真昼なのに昏い部屋』で中央公論文芸賞、12年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、15年に『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』で谷崎潤一郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

ISBN:9784022648648
作者: 江國香織